富山県美術館に行った。富山に初めて来たときには駅からどれくらい遠いか知らなかったのでタクシーで行ったが、実際は駅から超近い!富山駅から北方面に歩いていくと、環水公園を右手に見ながら美術館まで広い道を歩いて行ける。途中に、びっくりする感じの象のキャラクターが並んでいる道がある。

富山県美術館のマスコットキャラクター「ミルゾー」がずらっと並んでいる道。遊具っぽい雰囲気もあるけど、あののどかな環水公園からは想像できない雰囲気を放っている。一体一体通り過ぎる毎に、これから美術館みるぞ~!という興奮が増していく。ただ、この日は傘を真横にさすほど猛吹雪だったので余裕がなくて、ミルゾーの足元をちらっとしか見られなかった。吹雪いたりキラキラ日に照らされたり不思議な天気の日だった。
美術館の入り口は、ガラス張りの四角い空間。ガラスの中に一辺だけグレーの重そうなコンクリがある。近づいてみると表面は緩衝材のプチプチみたいで、材質は硬くて重いのにやわらかくて軽そうに見えて面白い。あれ?これどこが入り口で開くの?と少しうろうろしてしまった。だって自動ドアはガラスの部分だって思うじゃない。違うの。このコンクリが開くの!えええ、ふつうは素材が逆じゃない!すごいなあ~

入ると、右手に真っ赤な壁のエントランスホールが目に入ってくる。ミルゾーの青と、青・灰色の空と、空の色を映す川の色を見ながら歩いてきているから、目の前に赤が広がると目が覚まされる。そこには等間隔に並べられたラタンスツール (1955年、剣持勇によるデザイン) がある。静謐で無駄のない雰囲気のなかに、日本らしいラタンのまるっこい温かみのある椅子があると、気を張らなくていいよ、と落ち着かせてくれる。意味もなく座ってみたりした。


今回は「富山県美術館開館5周年記念 デザインスコープ ーのぞく ふしぎ きづく ふしぎー 」を見た。展示の内容とは別に、新しい発見があって嬉しかった。それは、美術館のスタッフのユニフォームがPleats Pleaseだったこと!思わず「そちらは制服ですか?」と聞いてしまった。「そうなんです。Issey Miyakeのデザインです。」「へえ!あちらのスタッフさんとジャケットは違うんですか?」「ジャケットは色違いで5色あります」だって!!よく見てみると、靴もお揃いだ、黒のハイカットスニーカー。おしゃれだああと思って今日の絵日記の絵にした。ボトムスは、花弁が広がっているようでかわいい。スタッフの方は立ったり座ったりの繰り返しだけど、どちらの姿勢でもきれいに拡がって気持ちがいいだろうなあと思う。し、Pleats Pleaseは全くしわにならないので機能的だなと思う。
そして富山県美術館は椅子の常設展があるのである!館内にラタンスツールやアルヴァ・アアルトの66チェアやコロンボチェアが普通に座れる状態で置いてあるのに!なんと不思議な空間なんだろうと入るたびに思う。なんか、北海道の旭山動物園に行ったときに、檻の中で飼われているカラスと、その檻の上に止まって鳴いているカラスがいて、「このカラスたちは何が違うんだろう」と思ったことを思い出す。出身地とかが違かったら、鳴き声に訛りとかあるのかな、「おまえどこ中(学校)出身?」「なんでずっと檻のなかにいるん?」みたいな会話があるのかなあとか想像したことを思い出す。鑑賞される椅子と、座られる椅子とでは、違う価値が生まれてくるのだろうか。贅沢なことだけど、やっぱり全部に座ってみたい!


富山県美術館は、展示と展示の間の空間がガラス張りで外にひらけているような設計になっていて、どんな天気でも、とても気持ちがいい。楽譜の中の、休符がつくるブランクの時間がちゃんとある。また次の展示も行ってみたいな。
