You too?

今日はいままで男性から受けた嫌なことを一気に書いてみようと思う。隠すことじゃなくて、日常の延長線上に普通にあったことだから。読むかたは、過去の経験を思い出したりつらい思いをしたりするかもしれないから、気を付けてほしい。書くわたしは、精神が参っているわけでも何かがあったわけでもないので、心配しないでほしい。

一番最初は、小学生のとき。スーパーの女性トイレに一人で入った。和式トイレで用を足していたら、個室のドアの下の隙間から手が入ってきた。手には消しゴムくらいの大きさの黒いカメラが握られていた。青光りするレンズと目が合った。驚きと恐怖は、身体を硬直させる。ただカメラを見続けることしかできなかった。撮影者は私が個室を出るより先に女性トイレを出ていった。トイレをでて母親のところまで小走りして、小声で何があったかを伝えた。自分の周りにまだいるかもしれない、告げ口していることがばれたらもっと怖いことをされるかもしれないと思ったためである。母はスーパーのスタッフに伝えた。その後、そのスーパーのトイレの個室には隙間を埋める板が設置された。今思うと、助けてと叫ぶとかカメラを奪うとかあるだろうとも思うけど、本当に身体も頭も動かないのである。この出来事を思い出すたび、小学生の私がトイレをしている映像がこのネットのどこかにあるかもしれないんだと思う。

また小学生の時、ボランティア活動みたいな感じで近所の方々と花を植える行事があった。暑い日だったので水筒を持参した。近所の方々と言っても、おじさんおばさんなんだけど、その中にカメラ好きのおじさんがいて、ボランティアのゼッケンの上から首に一眼レフを提げていた。活動の様子を撮ってくれているんだと思っていた。違った。「ほらほら、いい写真が撮れたよ」といって見せてきた。撮られていると知らずに木陰で水筒の飲み物を飲んでいる私と友達の横顔の写真。画面全体が私の口元になるくらいまでズームして「ほらね、口、見て」って。水筒は、飲み口が筒状に突き出ているスポーツタイプ。咥えて飲むタイプ。それを写真におさめたらしい。ああきもちがわるい。何も見なかったふりをして、友達とくっつきながらそのおじさんと距離をとって活動を終わらせた。

私がいない間に、私の机に自分の陰茎をつけた人もいる。小学校の同級生である。そして知らずにその机に座る私が周りから笑われるのである。

中学校の同級生も最悪である。朝、教室に入ると、机の真ん中に「あなたとSEXしたい」と書かれているのである。いじめを受けていたわけではない。単純な願望が匿名で書かれているのである。この教室に、私のことを性的な目で見ている男子がいる。その落書きを中心に、視界が狭くなっていった。朝礼の間、静かに消しゴムで消し続けた。中学生だからしょうがないじゃんではないんだよ。いまもこうしてずっと覚えている私がいるから。性的なもの=嫌なものとして、経験とともに刷り込まれていく。

高校受験のために、電車に乗って塾に通っていた。放課後、中学の制服から私服に着替えて、夜ご飯を食べてまた家を出る。その日は透けない黒いタイツに短いニットのスカートをはいていた。駅近くの塾まで歩いているとき、後ろを歩いていた人が、「あーあれが生足だったらなあ」とぼやく。私の恰好に対するジャッジが始まる。声からして、若い男性2人。絶対振り向かないけど、全部聞こえているからな。街中で女性をジャッジするやつ、マジで全部聞こえている。ホモソーシャルのネタとして人間を消費しないでほしい。

高校生、電車通学になった。ずっと友達と2人で登下校していたので、2人でいるときは何もなかった。1人で電車に乗って珍しく座席に座ってみた。隣に座っていたスーツの細身のおじさんが脚を広げ、私の脚にくっつけてきた。気のせいかなと思っていたら、脚をなでるようにすりすり動かしてきた。キッモ!意地でも動かねえぞ。と耐えた。強くならなくては。

大学生。ルッキズムの始まり。構内は外見のジャッジ祭りである。わざわざ顔を見に来て点数を付けられる。かわいいかかわいくないかがすべてである。男性の集団の横を通ると卑猥な言葉を大きめの声で言われる。私が図書館で勉強していても、彼らはわざわざ机の前を通って、かわいかったかそうでないかを友達に報告する。こちらは生きているだけなのにいつの間にか評価対象にされていて非常に意味が分からねえ。歩いていて急に「7点」とか「一重(ひとえ)だった」とか言われる。そういえば中学生のときにも女子が順位づけされていたな。中学生のままなんだ。

サークル帰り、友達と別れて1人で終電に乗った。眠かったので、座席につき、リュックを抱えて目を閉じていた。抱えて、というか、リュックの上に両腕をクロスさせて乗せて、手は浮いている状態。突然、右手が暖かい手でやさしく握られた。人間の思考スピードって超早い、私は「あ、さっき別れた友達がなんかあってサプライズ的な意味で同じ電車に乗ってきたんだ、一緒に帰るんだ」と思った。隣の席を見てみると、おっさん。30代前半くらいの、口ひげを生やして大きめのカーゴパンツを履くような、いかしたおっさん。目をつぶりながら、わたしと手をつないでいる。え誰!と思ったけど、どうやら寝ているようで、自分が誰かと手をつないでいることもわかっていなそう。ちょっと笑っちゃった。周りで誰か笑ってくれている人がいないか見渡してしまった。ゆっくり手を抜いて別の席に移った。

別の日。髪を切って、とても気分がいい状態で、美容室の隣にある本屋さんに入った。丈の長い、紺のチェック柄のワンピースを着ていた。その時の自分の精一杯のおしゃれだった。美容室に行くとはそういうことを意味する。料理本を立ち読みしていると、視界の右手から人が来る。私の後ろを通れるように、少し前に避ける。視界の左手にその人が…現れない。通り過ぎていない。後ろの本を見ているのか?すこし我慢してから、振り返ってみる。いない。え!下にいる!すぐ後ろでしゃがんでいる!黒い服の若い男性が、私の向きに腰をかがめていた。手にはスマホ。私が気づいたことを知り、そそくさと去っていく。何をしていたんだろう、ああスカートの中を盗撮したのか!ロングスカートでもやるのか!壁を背にして、さっきの男性を探してみる。もういない。またわたしはやられっぱなし。くやしい。次こそは。精一杯のおしゃれの結果が、性的搾取である。

別の本屋さんにいるとき、私の後ろを黒い肩掛けバッグが至近距離で通り過ぎる。本屋さんは背後に注意!と思ってその男性をジロと見る。よかった、なんでもなかった。一緒にいた彼氏に、どうしたのか聞かれる。事情を説明しても、「そんなに神経質にならんでも」と言われる。

また大学生。キャンパス内の小規模の女性トイレに入る。女性トイレに入る直前、男の学生と目が合う。洋式トイレで用を足していると、別の個室に誰かが入る。ここまでは普通。トイレットペーパーを繰っていると、そのトイレットペーパーホルダーはステンレス製で鏡面になっているのだが、そこに自分以外の顔が映っている!!!「え!マジで」と声を出す。私の後ろの個室の便座にのぼり、壁の上から顔をのぞかせて、私の尻を眺めていたのである。先ほどトイレの前にいた男性である。私の声で、顔をひっこめた。というかトイレットペーパーホルダー越しに目が合って顔をひっこめた。すぐに個室の外に出て、反撃。ノック、「今上から見ていましたよね?」ノック、「出てきてください」「出てきて謝ってください」「(男性)ちょっと体調が悪くて、、男子トイレが空いていなかったので、、」「いや多分空いているし、今上から顔出してましたよね」、、、だんまり。相手が個室に閉じ込められているから、考える時間はある。ケータイは持っていない。友達と自習していたから、あっちに置いてきてしまった。取りに行っている間に、逃げられてしまうかもしれない。女子トイレは自習室から遠く、周りに人はいない。助けを呼べない。とにかく、謝ってもらいたい。「、、、警察に言ったりしないので、出てきて謝ってください」。「警察に言わない」の言葉がトリガーだと思う。背の高い、気の弱そうな男性が出てきた。私は彼を見上げる。背が大きいなと思う。「謝ってください」「体調が悪くて、、」「今後一切しないと約束してください」「、、すみませんでした」。男性を置いて、女子トイレを出る。これでよかったのかこれでよかったのかこれでよかったのか。警察に言わなくてよかったのか。言い返してよかったのか。顔を見てよかったのか。友達にすぐに帰ろう伝える。親に電話しながら、背後に気を付けてと言われながら、家まで歩く。鍵を閉めて初めて、何もなくてよかったと思う。これまでのくやしさをばねに自分で動けたことはよかったけど、体格差があったし、狭い女性トイレで男性と2人の状態になるということは結構危険なことだったと、今は思う。

次は、もっとうまく対処する。

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