small talk

ブログを開設して、大切な人たちから読んだよと連絡がいただけてとても嬉しい。連絡をいただく度に、その人の視点に立ったつもりで投稿を読み直すので、結局自分が一番読んでいるのである。

買い物をしているときに見かけた方が素敵だったので、絵にかいた。あとで絵にかくつもりで遠くからよーく見て記憶しておいた。実際見た時間は2秒間くらいなので問題ないと思う。絵にかいたけど文章にもしてみる。クリーム色のワンピースは、ボルドーと淡いターコイズブルーの花柄プリントで、布をたくさん使っていてボリュームがあってかわいかった。大きめのこれまたボルドーのバッグは、あまり上手に描けていなくて、もっとボストンバッグぽい渋いデザインだった。そして私は首にピッタリフィットしているタートルネックとショートヘア、Dr. Martensのようなeffortlessな厚底ブーツが大好きなので、彼女のスタイルがとてもお気に入り。

ファッションについて文にしてみると、どうしてもカタカナが多くなってしまう。カタカナが多い文章は、ちょっと読むのが難しい。

私は文章を読むときに頭の中で音声化する。音声化しないと、文章を読むことができない。音声は、自分の声で再生されるときもあれば、知らない声のときもある。自分の文章は、もっぱら自分の声で再生されるが、例えば本を読んでみると、登場人物らしい声やナレーションぽい声も聞こえてくる。小説を読むと、本文の音声化と映像化を同時に(交互に?)するので、頭の中はおおいそがしである。(そんなの普通じゃん、ということを長々書いてしまっているかもしれない)だからとても読むのが遅い。

音声化しなくても文書を読むことができる人がいる、ということを知ったのはごく最近である。文章を読むのがとても速い。どうやって読んでいるのか知りたい。

カタカナが多い文章は、濁音(バビブベボ)とか半濁音(パピプペポ)の音が頭の中で連続して再生されて、煩わしい。肩のあたりがむずがゆくなってくる。私は、一文が短くてビジュアルベースな描写が好きで、Jhumpa Lahiriの小説をよく読む。好きで読むけど、ウッ!とくるときもある。

じっとりと熱い八月の晩、予定日を二週間後に控えたアシマ・ガングリーは、セントラルスクエアにあるアパートのキッチンで、<ライス・クリスピー>のシリアルと<プランターズ>のピーナツと赤タマネギのみじん切りを、ボウルの中で混ぜ合わせている。これに塩、レモン汁、小口切りの青唐辛子を入れながら、ついでにマスタードオイルもあればよいのにと思っている。

The Namesake / Jhumpa Lahiri

全部英語で書いてあったら、大丈夫かもしれないと思った。ということは、問題は音じゃない、、?単純にカタカナが苦手なだけかも。でも肩のあたりがむず痒くなるのは本当。明朝体だとなおさら響く。

これはまた違う話だが、マンガを読むのもとても遅い。吹き出しの中を読んで、絵を見て、絵をよーく見て、「ああこの線を描くの気持ちよかっただろうなあ」とか「背景のこれ描くの楽しかっただろうなあ」とかストーリーとは関係ないことをじっくり味わった後に次のコマに進む。日本のマンガは、コマ間のリズムが大切だったり、時間的な側面にコマ割りが関わっていたりするので、作者の意図するそういった演出に置いて行かれてしまうことがある。これは非常にもったいない。(海外のマンガはコマ間の時間間隔が大きい気がする。)

これはまた更に違う話だが、私は画像で世界を認識していて、言語で認識している人とは違うなと思うことがある。研究室の教授との会話もままならない。教室のどこそこに置いてあったやつ、とか、このくらいの大きさのやつ、とか、身振り手振りでなんとか説明して、固有名詞が全く出てこない。教授が「あー○○ね」と言ってくれる。固有名詞を知らないわけではなくて、頭に先に出てくるのがそのものの画像なのである。言語化するのに、すごく時間がかかる。

音声化して読んでいるなら、単語もすぐ出て来そうなものじゃない?と思うけど、ちがう。読まなくていい文字は、ロゴのまま画像を覚えているので、音声化したことがないのである。これを初めて感じたのが、イギリスのバンド「The 1975」の話をしたとき。好きなバンドなのに、バンド名を頭の中でも口でも音声化したことがなかった。初めて友達にバンド名をいうときに、指で「The 1975」と空に書きながら「ざ、いちきゅうななごー」と言った。「nineteen seventy fiveね」と言われて、恥ずかしくなった。あんまりこのバンドのこと知らないでしょうみたいに思われてしまったかもしれない。

同じ理由で、漢字も苦手だ。覚えていない漢字が多くて、覚えていても、指で書きながら「口がいっぱいあるやつ」とか「このへんがごちゃごちゃしているやつ」という覚え方である。「秋」という漢字は、右辺と左辺(右辺と左辺?)のイメージが非常によく似ているので、左右を逆に書いてしまうことも多い。書道をやっていたけど、見ていたのは線の形だけである。

そんなの普通じゃん、ということを長々書いてしまったかもしれない。

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