Aspiration

「私はVictria’s Secret Fashion Showが好き。」

Bella Hadid, 2017

ずっと前からKarlie Klossが大好きで、いつの間にかヴィクトリア・シークレット・ファッションショー(VSFS)のことも知っていて、そのショーに出ているからGigi HadidもBella HadidもKendall Jennerもわかるようになっていって、そこからVSFSに限らず「ランウェイで推しのモデルを見つけてsnsをフォローする」ようになっていった。挙げればキリがないほど素敵なモデルさんはたくさんいるんだけど、やっぱり永遠の憧れはKarlie Klossである。

Karlie Klossの一番好きな写真。
Vogue, December 2014

Victoria’s Secret Fashion Showは、Victroria’s Secretという女性下着ブランドのショーである。1995年から2018年まで毎年ショーを行なっていた。ブランドを知らない人も、もしかしたら、姉妹ブランドの「Victoria’s Secret PINK」のロゴマークは見たことがあるかもしれない。

商品はひとつも持っていない。たぶんあっても買わないと思う。今、オンラインショップを見てみる。評価は全体的に高いので、物は良いんだと思う。しかし私が好きなのは商品ではなくて、ブランドが開催していたショーのほうである。

ショーにはテーマが設けられていて、サーカス、レーサー、お姫様、ボタニカル、雪、黄金、ウエスタンなどさまざま。ショーのモデルさんたちは、その年に発売されるランジェリーの上からテーマに合った装飾を加えられ、背中に羽根などの大きなモチーフを背負う。VSFSのモデルは特別に「エンジェル」と呼ばれる。

Karlie Kloss, 2017

ショーはBGMで行われることもあるが、とりわけ話題になるのはアーティストが参加するショーである。Rihanna、Lady Gaga、Katy Perry、Justin Bieber、Bruno Mars、Fall Out Boy、も〜挙げきれないくらいの有名アーティストたちが出演している。「This Is Me」のKiala Settleなど、その年に流行ったアーティストも出る。(思い出した!映画ベイマックスを観る→FallOutBoyを知る→VSFSのショーを観るの流れで知ったんだ) 普段聞かない曲でも、アーティストのパフォーマンス、モデルのウォーク、ショーが作る世界観を見るだけで感動する。これまでの中でも1番好きなショーはTaylor Swiftの「I Knew You Were Trouble」である。

別ウィンドウやYoutubeを開くことなく、この投稿ページのまま再生されます。

Taylor Swiftのすごいところは、舞台上での圧倒的な存在感である。自分がどう動けば魅力的に見えるかを知っている。ショーのバックグラウンドではなく、その場を支配し、全員の注目を集める。普段、彼女の曲は聴かないが、これは本当にすごいパフォーマンスだと思う。2番目に出てくるKarlie Klossも身軽でサイコーである。

VSFSは、2018年を最後に、それ以降は開催していない。ショーに出演するモデルたちが多様性に欠けることや、経営陣によるモデルへのセクシャルハラスメントが次々に発覚したことが原因である。(つい先日、2023年後半にショーを開催するというニュースが出ました。どうなるかしら。)

過去のショーが白人至上主義か、と言われたらそうでもないと思う。有色のモデルはちゃんといるし、いろいろな国から採用されている。ヨーロッパ系のコーカソイドで固まっているわけではない。

しかし、みんな細くて長い。体型の多様性は無い。「このモデルはちょっと太りすぎ」だとか、「このモデルは胸元が素晴らしいのに布で覆ってしまってもったいない」とかいうコメントも見たことがある。Karlie Klossでさえ「VSFSに出るには細すぎる」というコメントがついてしまう。

ここで、VSFSが他のファッションショーとは異なる点を挙げる。普通のアパレルのショーは、モデルではなく服を見せる。モデルは決まった表情で歩く人形であり、個性を保ちつつも「わたしも着たい」と思わせるような普遍性と匿名性を醸し出している。ショーの写真にモデルの名前は出ないのが普通である。

これに対してVSFSはモデルが主役であり、モデルは表情豊かに自由にウォーキングする。だから普段ランウェイでかっこいい表情やアルカイックスマイルを保っているモデルさんがVSFSではじけた笑顔だったりすると嬉しく思ってしまう。もはやモデルが着ている商品を見ている人はいないと思う。

ショーの目的は、商品のアピールではなく、異性へのセックスアピール(性的誘惑)である。「この下着を着れば、このモデルのように、異性に魅力的に見られるようになりますよ」というメッセージがある。着るための下着ではなく、見られるための下着なのである。

それはまあ、ひとつのブランドとしてあってもいいと私は思う。だから、「努力してできた身体の綺麗な女性を綺麗に着飾るのは何がダメなの?モデルさんはみんなここに立つのが夢だったって言っているのに。いや、確かに多様性を認めない社会はあってはいけないと思う。私もよりよい世界を目指したいと思う。でもでも、こんなに素敵なショーが無くなるなんて」と思っていた。好きなものを否定されると、単純に悲しい。実際に、私と同じようにこのショーに憧れを抱いていた女の子はたくさんいて、出演しているモデルさんも過去のショーを観て育った人たちである。

この「憧れ」に問題があるとわかってきたのは、つい最近のことである。長くなってしまったので、次の投稿へ持ち越し!

Diary

Anthropology